2013年4月29日月曜日

NYボックスver5.2の5年分バックテスト結果更新


1.はじめに ------------
 現在、リアルトレードで運用中の
 NYボックス ver.5.2(ユーロ円)について、
 マイルール3ヶ年分のバックテスト結果を公開していますが、
 今回、新たに2ヶ年分のバックテスト結果を追加しました。

 ここでは5ヶ年分のバックテスト結果について
 整理を行い、今後の方向性について考えていきます。

 なお前回のバックテスト結果も含めて整理することで、
 本日のこのページのみ見ていただければ、
 NYボックスver5.2の全テスト結果がわかるように構成します。

 なのでわざわざ、”前回分はどうだった?”など
 戻って見比べる必要はありません。

 
 以下、次のような構成となっています。

 はじめにバックテストの結果を
 pips表示によるグラフ(2節)、数値データ(3節)を用いて示し、
 資産の増減率(4節)について整理をしました。

 次にトレード間隔日数(5節)、
 エントリーからエグジットまでの日数(6節)
 について整理をしました。

 最後にテスト結果から見えてきた課題、
 今後のアイデアについて検討を行い、
 これらの課題を解決するため、
 今後のテストの進め方などについて述べています。
 (8節)

 なお今回の記事ですが、
 なるべく整理しコンパクトを心がけましたが、
 長文となっています。


2.バックテスト条件 ------------
 対象とするマイルールは運用中のNYボックス ver.5.2です。
 通貨ペアはユーロ円。

 テスト期間は2008年1月~2013年3月までの、
 5年3カ月を対象とし、フォレックステスターを用いて、
 ローソク足を1本ずつ表示しながら、テストを行いました。

 バックテストにかかる所要時間の目安ですが、
 1ヶ月分は概ね10~15分もあればテスト可能だと思います。
 (1ヶ月間のトレード回数が多くないため)


3.バックテスト結果(pipsグラフ) ------------
 下図にテスト期間における累積損益pipsを示します。
 青線は買いのみ、緑線は売りのみ、
 赤線は売り買いを合計した損益pipsとなります。

 グレー線はユーロ円のチャートとなります。
 (オープン・クローズ・高・安の単純平均)
 







 



 グラフに示した紫の矢印を参考に期間別に傾向を見ていきます。

 矢印(1)(2008年前半)ですが、
 チャートは横ばいで、
 利益と損失が交互に出る感じで、
 結局、利益はほとんど出ていません。

 矢印(2)(2008年後半)ですが、
 リーマンショックによりチャートは大きく下がっています。
 そして売りでは大きな利益を上げる一方、
 買いでは大きな損失を出していて、
 結局トータルでは大した利益が出ていません。

 矢印(3)(2009年前半)ですが、
 チャートは少し上昇し、
 買いで利益、売りで損失を計上です。

 矢印(4)(2009年後半)ですが、
 チャートは横ばいで、
 買いで損失、売りで利益を上げ
 トータルでは利益も横ばいです。

 矢印(5)(2010年前半)ですが、
 チャートは下降し、
 売りで利益を上げています。
 買いでは損失ですが売りよりは小さいため、
 全体では利益が上がっている期間です。
  
 矢印(6)(2010年後半)では、
 チャートが横ばいで、
 売り買いともにほとんど利益が出ていません。

 矢印(7)(2011年前半)では、
 チャートが上昇しており、
 買いで利益計上、売りでも利益計上
 となっています。

 矢印(8)(2011年後半)では、
 チャートが下降し、売りが利益計上、
 トータルでも利益が出ています。

 矢印(9)(2012年初期)では、
 チャートが上昇し、売りで利益計上、
 矢印(10)(2012年中ごろ)では、
 チャートが下降し、
 売り買いともに損失が出ています。

 そして矢印(11)(2012年後半以降)では、
 チャートが大きく上昇し、
 買いで利益計上、売りでは横ばいで
 トータルで大きな利益が出ています。


 チャートとの相関をみると、
 円安で上昇すると買いで利益・売りで損失、
 円高で下降すると買いで損失・売りで利益、
 といった傾向があるように感じます。
 
 また今回示した程度の期間で区切ると、
 売り買いともに利益が出ることは少ないようです。

 そしてある期間内において、
 利益=損失だと結局は大した利益にならず、
 以下に損失を小さく抑え、利益>損失に
 持っていくかが重要だと言えます。

 ただしリアルタイムで、
 大きな方向性は?などどのように判断するか?
 更に判別のフィルターを増やすと、
 オーバーフィッティングに陥る可能性もあり、
 これらも含めて検討が必要だと感じています。

 このあたりについては、
 今後の方向性のところでも少し述べます。


4.バックテスト結果(具体的数値) ------------
 先はチャートと時系列で結果を示しましたが、
 ここでは年ごとの具体的な数値を以下に示します。










A.トレード回数
 A-1を見ると、どの年でも年間に70から80回程度の
 トレードがあるようです。

 A-4に勝率を示しますが、
 概ね5割ちょっとといったところです。

 オレンジに着色した2008年2009年は4割に近く、
 調子が悪いようです。

 勝率5割がマイルールと市場フィットの
 一つの目安になりそうです。

B.獲得pips
 総利益を見ると、近年になるほど利益計上が確認でき、
 今後も期待は出来そうです。

 また勝ちpipsと負けpipsを見ると、
 年によりその値ははだいぶ、異なるようです。
 (ボラティリティ等にもよる)

 これは獲得pipsのみで傾向比較が難しいことを示唆しており、
 次節では資産自体の増減率を用いて検討しています。

C.損益比
 緑に着色した2010年を除けば損益比は1以上となっています。
 勝率との関係により結果は異なりますが、
 やはりここでも1を下回るようだと、
 過去と傾向が異なってきた可能性があると言えそうです。

D.最大利益と損失
 これはともに大きな値となっており、
 現行ルールの非常に気になる点です。

 トータルの獲得pipsを改善することで、
 少しでもトータルpipsに占める割合を減らすことが
 必要だと言えそうです。
 (1トレードがトータル利益に寄与しすぎるのは良くない)


5.資産の増減率 ------------
 上記ではpipsベースの整理でしたが、
 ここでは実際に資産がどの程度、
 増減したかについてです。

 資産増減を考えるにあたり、
 1トレード当たりのリスクの取り方により
 結果は異なるため、ここでは保守的な数値として、
 Rob Booker氏も勧めている、
 1トレード当たりのリスクを資産の1%とした場合の結果を示します。
 


 






 2008年から2010年にかけては、
 資産が微減しています。

 2011年以降は資産がしっかりと
 増加していることがわかります。

 2013年1月から3月のテストも行っていますが、
 ここでも2012年までの流れは続いているようで、
 今後も利益計上が期待出来そうです。

 資産増減とは別に、
 このグラフを見て気になる点があります。
 
 破線の丸で囲んだ部分ですが、
 いったん、大きく資産が増えたのちに、
 ほぼそれに近い値の損失が発生しており、
 結果として爆発的な利益に結びついていません。

 そしてこのパターンが年に1回程度、発生しています。

 先にも述べたように、
 相場状況とフィットしない時期では、
 利益が出なくても、損失を可能な限り抑えることが
 重要な課題と言えます。

 なおトレード手法に一貫性を持ち、
 もう少しリスクをとることが出来ると判断が出来、
 1トレード当たりのリスクを
 1%から2%とした場合には、
 資産の増加率はここで示した値より大きくなります。
 

6.トレード間隔 ------------
 前述のようにトレード回数は5年3ヶ月で
 390回と多くはありません。

 相場状況によりトレード日数間隔が開くことも予想されます。
 下図はトレード間隔日数の出現回数を整理したものです。
 
 なお土日は除いた日数としており、
 例えば木曜の次に火曜にトレードがあれば、
 実際には金・土・日・月の4日間ですが、
 ここでは金・月(土日除き)の2日間となります。










 まず単純な平均でみると、
 トレード間隔日数は5.4日となります。

 そして間隔2日を中心に1日から8日が大半を占めており、
 1週間に1回、また2週間に1回程度の間隔なら、
 バックテストによる想定内と言えます。

 一方では月に1回といった時期もあるようで、
 エントリーチャンスが来なくても、
 あせらずにマイルールに従い、
 チャンスを待つ必要がありそうです。

 懸念としてはトレード回数が少ないということは、
 全体の結果に対しての1回のトレードが占める割合が大きくなり、
 エントリーチャンスがあっても、
 所用でトレードが出来ない場合が増えると、
 バックテスト結果と異なった結果が出る可能性があります。
 (これは兼業トレーダーなら仕方なし)


7.エグジットまでの日数 ------------
 以下はエントリーからエグジットまでの
 日数を示したものです。








 多くの場合はエントリーからエグジットまで、
 1日程度で終了しています。

 エントリーの判断基準に
 日足MACDヒストグラムの傾きを利用していますが、
 日足を使って判定することに問題はなさそうです。

 なおこの日数が短くても長くても、
 トレード勝敗に相関はないようです。
 (ここでは示しませんがチェック済)


8.今後の課題 ------------
 以上が2008年~2013年3月までの
 NYボックス ver.5.2(ユーロ円)バックテストの結果となります。

 全体としては2011年以降は利益計上が出来ており、
 今まで通りにリアルトレードを進めていきますが、
 いくつかの課題とそれを改善するためのアイデア、
 今後の作業予定について述べていきます。

8-1.マイルールの有効期間 ------
 前述したように勝率5割、損益比1以上であれば、
 マイルールと市場はフィットしていると言えそうですが、
 どこまでかい離、どの程度の期間で判断か?
 などについては、明確なものがないため
 今後の検証が必要です。

8-2.チャートトレンドとの関係性 ------
 前述のようにチャートのトレンドと
 売り・買い・利益・損失とは関係性がありそうですが、
 現時点では結果論となりそうです。
 
 ・リアルタイムで現在のトレンドを明確に判断は可能か?
 ・あまり判断指標・テクニカルツール追加は好ましくない 
 ・仮に追加してもバックテストではパラメータをいじれば、
  オーバーフィッテングになる可能性が高い

 そして勝率は概ね5割程度で損益比も1に近いため、
 現行ルール内でもう少し損益比を改善を目標に
 当面は以下の作業を予定しています。

8-3.利益性の改善 ------
 現在のストップ・ターゲットのリスクリワード比は
 ストップ:ターゲット1=1.00:1.24
 ストップ:ターゲット2=1.00:3.24
 となっています。

 感覚的にターゲット2に到達する回数が低く、
 途中で切り返すことが多かった気がします。

 例えばターゲット2をフィボ261.8から223.6へと変更し、
 ストップ:ターゲット2=1.00:2.47とすることで、
 利益性が改善されるかチェックを行う予定です。

8-4.損失の限定 ------
 バックテストを行っていた感覚ですが、
 どうもNYボックスをブレイクしたのち、
 最初の数時間で含み損があった場合、
 その後も結局利益は上がらずストップに
 かかっていた気がしています。

 そうであれば、
 例えばエントリー後、日本時間の25時なりで
 含み損があれば一部は強制にストップさせる、
 なども一つの案かと思っています。

8-5.多通貨ペアでのバックテスト ------ 
 これは2012年のみですが、
 ドル円・ユーロドル・豪ドル円・ポンド円・ポンドドル・
 スイス円・ドルスイス・カナダ円
 はテスト実施済みです。
 (またの機会に整理をして、このブログで紹介予定)

 なお現行ルールではどのペアでも
 思ったような利益は出ておらず、
 改善なしにはリアルトレードに導入は出来ません。


9.さいごに ------------
 前回記事でも述べましたが、
 バックテストは淡々とした作業になりがちですが、
 事前に想定したアイデアが適用出来るのか?
 テスト中にも当初にはなかったアイデアが見えて来たり、
 より改善できるアイデアはないか?などと
 考えながら行うため、
 慣れてくればなかなか楽しい作業かと思います。

 それよりもバックテストで確証が持てない限り、
 その手法をリアルトレードで使おうという気には
 なりません。

 Rob Booker氏は少なくとも1000回のバックテストを
 推奨していますが、1000回程度なら比較的にすぐに終わりますし、
 なにより1000回では足りなく感じるかもしれません。


 皆さんもぜひ、バックテストを!


2013年4月30日追記)
 改善を行ったNYボックスver5.2.1のバックテスト結果は、
 こちらのページに追記という形でアップしました。

 本ページをご覧になった後に、
 補足という形でチェックしてみてください。




追伸)
 バックテスト結果等について、
 不明・疑問点等あれば、
 このブログのコメント・ツイッター・フェイスブックで
 メッセージを頂ければ返信いたします。

 

参考文献)






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